ヌードなアタシ
青いジャージの生徒数人が校庭を走り
中央では野球部員が柔軟体操をしている。
先生は窓の外に視線を移して
それらを眺めていた。
『桜木、君ほどの学習能力を持つ生徒を
私は知らない…
いったい、どんな環境で学んできたのか…』
『私は…』
そう言って、一瞬ためらう。
アタシは幼い頃の
自分も、周りの環境も嫌いだった。
あ…アサガオ。
ふと、小学校の教室の情景が
鮮明に思い出された。
『小学校の夏休みの宿題…
私、一日中、家で1人でいたので
とても退屈で…。
アサガオの観察絵日記を
丁寧に詳しく書いたんです。
それを見た担任の先生が
すごく褒めてくれて…
自分の事を認めてくれて
がんばった事に対して
褒めて貰えたのが、とっても嬉しくて…
それからも
勉強頑張ってテストで良い点取ると
先生が、こまち良く頑張ったなって
頭をクシャクシャって撫でてくれて…
私、それが嬉しくて
また、撫でてもらいたくって
頑張ったんです。
あはは…単純ですよね』
『親御さんは…褒めてくれなかったのか?』
聞きづらそうに
先生はボソリと言った。
『はい。母はアタシに…
育児に関心が無い人ですので』