ヌードなアタシ

教室にむかう途中
階段を昇りきった廊下に続く踊り場に
卓己くんがいた。


『教室行ったら、
桜木、先生に呼ばれたって聞いてさ。
なんて言われた?』


心配して待ってくれてたんだ…


『ん…。モデルの事を話した。
変な噂は否定した。
先生には納得してもらえたと思うけど…
規則は変えられないみたい』


『停学とか?』


『うん…、停学は別にいいんだけど。
モデルの仕事が認められないと思う』


『まぁ、決まりだしな…』


卓己君は困ったような苦笑いで言う。


『今までみたいに、あまり目立たない仕事してりゃあ良かったんだろうけどな…』


『うん、そうだよね…
でも、やってみたかったの。

モデルとして
どれくらい世間で通用するのか
知りたかった。

事務所との間では、名前とか学校とかは
いっさい公表しないって約束してるし
本来、アタシって、あまり目立たないし
ここまで大騒ぎになるなんて…想定外』


『はは…目立たないって…おまえなぁ、
もう少し自覚しろって!』



『…アタシね、モデル続けたい。

先生には進学の資金の為って言ったけど、
確かに最初はそのつもりだったけど、
この仕事が好きなの、きっと…』



『いいんじゃねぇの?』


壁にもたれていた体を起こして
アタシの両肩に手を添えて
ぐっと力を込めた卓己くんは
真剣な顔になった。
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