ヌードなアタシ
4時間目の授業が終わった。
曇りで湿度があるせいか
温度計の気温よりもムシムシと暑く感じる。
下敷きでパタパタと自分に向けて風を送る。
勢いよく教室のドアがあいた。
『桜木っ…!』
血相をかかえて入ってきた卓巳くんは
アタシの目の前に
カラーコピーされた写真を差し出した。
…アタシの写真。
それは、上半身裸でジーンズをはいた
広告写真のコピーだった。
『…これ、桜木なのか?』
卓巳くんは動揺した目で
アタシの返事を待っていた。
周りにいたクラスメイト数人も
写真を見て息をのむ。
『うん…、アタシだよ。
春先に受けた仕事。
ジーンズメーカーのポスターだよ…
これ、どうしたの?』
このポスターの広告期限はもう切れたはず…
なぜいま時期にこれが出てきたのだろう…
『新聞部の部室に
差出人ナシで置いてあったらしい。
俺が駆けつけた時には、もう広がってて…
残ってる分は回収してきたけど
十数枚は見当たらないんだ』
卓己くんが抱えてる封筒をアタシに見せる。
20枚くらいあるだろうか、
コピーされた同じ写真が収まっていた。