ヌードなアタシ

『いま、駅前のスタバにいる。
これから奈緒が来る』


『えっ?奈緒…?』


『わるいケド…ちょっと出てこれる?』


『う…うん!わかった。
じゃ…今から行くから』


どうしたんだろう…。
こんな時間に。

卓己くんの口調の冷静さは
拒絶する事を認めない
そんな意志の強さを感じさせた。

よほどのコトじゃない限り
あんな言い方しない。


『……どうしたの?
卓己くん、奈緒ちゃんといるの?』


ケイちゃんは、携帯を握りしめたまま固まってるアタシを覗き込んで言った。


『うん、なんかあったみたいなの…
ちょっと行ってくる』


取り敢えず、携帯とお財布をつかみ
玄関にむかう。


『お酒飲んじゃったから
車出してあげれないわ…
ふらふら歩くの危ないから
タクシー使って行きなさい』


心配そうに見送るケイちゃんに頷き
アタシはマンションを出た。



8時を過ぎて、外はもう暗かった。


バス停で時刻表を見たが
しばらく待たないとバスは来ない。

アタシは手を挙げてタクシーを止め
急いで駅前へむかった。




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