ヌードなアタシ

『結局は…みんな、こまちちゃんの味方…』



やっぱり、奈緒は
アタシ達の顔を見ようとはせずに
両手で持った珈琲に目を落とし話し始めた。



『…もう、ばれちゃった。
瞬くんって、ホントおしゃべり…

そうだよ、わたしよ。

話題のこまちネタだもん、
写真部に渡せば、すぐに広がって
噂話しは勝手にエスカレートするでしょ?』



『桜木を困らせて楽しい?』


『べつに…。
楽しくなんてないよ』


『じゃ、なんで?』


『だって…卓己くんが悪いんだよ。
わたし…こんな事するつもり無かったけど
署名とか、余計な事するから…』


『余計?』


『バイト禁止なのにモデルしてるんだもん。
こまちちゃんが悪いんだよ。
退学になってしょうがないじゃない』


『奈緒は桜木が退学になって欲しいのかよ?』


『………そうだよ』


ズンっと胸を打ち抜かれたようだった。
冷静な奈緒の声は鋭利な刃物のように
アタシを痛めつける。


『わたしは、こまちちゃんと
親友になりたかったよ、すごく。

でもね、こまちちゃんは
全然そんな気、無いんだもん…
わたしなんて相手に出来ませんって感じ』


『えっ?なんで?そんな事思ってなかった!
アタシ、奈緒とは親友だと思ってた』


アタシは身を乗り出し
必死で奈緒を見つめた。
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