ヌードなアタシ
卓己くんは、備え付けのスタンドから
紙ナプキンを数枚取り出して奈緒に差し出す。
奈緒は素直に受け取り
顔に押し当て涙を拭き取った。
『べつに…
俺は奈緒をのけ者にした覚えないぜ。
メールしたし電話もした。
無視し続けたのは、おまえだろ?』
卓己くんの声は静かに優しい。
『勝手に被害妄想になるなよ。
まぁ、あれだ…
修羅場的な会話の中で、俺、告られたみたいだけど…
奈緒の気持ち…なんとなく気がついていた』
奈緒は涙を拭く手を止めた。
『俺さ、奈緒にも桜木にも
特別な恋愛感情とか無くて…
でも、3人でワイワイ騒いでんの楽しくて。
そんな気持ちだったから
桜木も一緒にって言ったんだ。
誤解させちまって悪かった…』
『こまちちゃんの事が
好きだったんじゃなかったの?』
『桜木とは仲がいい友達だ。
なぁ、桜木!』
『う、うん!』
突然振られて、ビクリと姿勢を正す。
『うそ…』
そう言って奈緒はアタシを見た。
奈緒と目が合うことを
予想していなかったアタシは、また驚き
コクンと、頷いてみせた。