ヌードなアタシ

『わたしね…こまちちゃんの事
大好きだったの。

綺麗で、かっこ良くて、成績優秀で…

モデルしてるのを、みんなが知ったら
人気者になっちゃうだろうなって思ってた。

わたしみたいな普通のコより
気が合う友達が出来ちゃいそうで
ハラハラしてた。

もっと仲良くなりたいのに
こまちちゃんって、自分の事とか
あまり話してくれないし…

ずっと、さみしいなって思ってたの…

それでもね、
一番の仲良しに、なれたと思ってたから
わたしが一番こまちちゃんを
理解してあげてると思ってた。

でも…違った。

大事な事は、
いつも後から聞かされてた。

こまちちゃんからしたら、わたしなんて
後まわし程度の存在なんだろうなって。

そう思ったら…みじめで。
こまちちゃんが憎らしくなってきたの。

そしたら、憎い気持ちが
どんどん膨らんできちゃって
自分でも抑えられなくて。

嫉妬してたんだ。

こまちちゃんの大切なモノを
奪ってしまいたいって気持ちが芽ばえた。

こまちちゃんは、わたしの欲しいもの
全部もっていたんだもん』



………アタシが全部もってる?

悔しくて涙が出そうになる。

アタシは、ぬるくなったカップを握りしめ
奈緒を睨みつけた。



『恵まれた環境の中で幸せに暮らしてて
なに言ってんの…?

アタシが全部もってる?
だから奪いたくなった?

アタシが物心ついた時から
欲しくて欲しくてたまらないものを
持っているのは、奈緒じゃない』


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