ヌードなアタシ
『望まれて生まれた子じゃないの、アタシ。
母子手帳って知ってる?
妊娠するとね、子供の記録を残す為に
手帳が発行されるの。
赤ちゃん生まれると身長とか体重とかが
書き込まれるんだ。
アタシが生まれて
病院の先生が書き込んだ血液型はAB型。
パパは…O型、ママはB型。
そう、AB型の子は生まれる筈がない。
O型とB型の親から生まれる子供は
O型かB型しか生まれないの。
アタシが生まれるのを
パパは心待ちにしていたのに…
アタシの血液型を知った途端
一度も抱き上げること無くママと離婚した。
だからアタシは戸籍上のパパの顔も
本当のパパが、どんな人なのかも知らない。
ママ自身も本当のパパのことは
よく知らないみたい。
ママの恋愛に関しての倫理観は
あまりに幼稚で奔放だから…
このことは、子供の頃
おばあちゃんに聞いたの。
もっと詳しく知りたかったけど
おばあちゃんは小5の時死んじゃったし
ケイちゃんは分からないからって
一切教えてくれない。
アタシがO型かB型だったら
パパにもママにも愛されたよね。
ママがアタシを産んだことは
紛れもない事実なのに…
パパが出て行ってからは
ママもアタシを抱かなくなったみたいだね』
話し始めた時、奈緒はアタシを見ていたけど
話し進むにつれ目をそらしていた。
『奈緒がうらやましいよ。
アタシは、ママとパパが欲しい。
アタシを見て欲しい
認めて欲しい
愛して欲しい
奈緒が、そうされているように…』