ヌードなアタシ
ママのそばに行けなかった…
体が強張って
どうしていいのかわからない。
ママの死を
アタシの体は拒絶していて
アタシの心も拒絶していて
声を出すことさえも出来なくて
涙だけがポタポタと流れ落ちる。
横にいた大介さんが
そっとアタシの背中を押して
促すようにしたけれど
アタシの体は硬く固まり
動けなかった。
呼吸の動きの無い顔は
人形のよう…
ママは
死んじゃったんだ。
ママを乗せたストレッチャーが行って
静かになった廊下。
アタシ達はエレベーターを見つめたまま
しばらく突っ立っていた。
『椅子に掛けて待っていよう』
大介さんはアタシの肩に手を掛けて
椅子まで誘導する。
ケイちゃんは、電話してくる…と言って
階段の隅で背を向けた。
低い声が途切れ途切れ聞こえてきた。
『蒸し暑いな…
なにか、飲み物を買ってくるよ』
大きな手が、アタシの頭をポンポンと撫で
足音が遠のいて行った。
アタシは顔を上げることが出来ずに
うなだれて泣いていた。