ヌードなアタシ
夏休み

照りつける太陽の日差しと
熱された地面の照り返しで

火葬場の煙突のから出る煙も
蜃気楼の様に間延びして霞んでいる。


建物の影なら
少しは暑さを遮る事が出来るのだけど

そこからじゃ、煙突が見えないから…


アタシは駐車場の横に出て
容赦ない真夏の炎天下に体をあずけた。


ゆらゆらと
薄く静かにママの煙は昇り
ほんの数十センチの高さで
青く眩しい空の一部と消えた。


ママの小さく華奢な体は
灰になる時も弱く、か細い煙で
あっという間に散ってしまう。


亡くなったママを、病院の霊安室から
アパートに運んでもらった。

狭いアパートに、葬儀屋さんや親戚…
ママのお店の関係者が
次々にやってきた。

すべてケイちゃんが対応してくれて
アタシは…
ただ、ぼんやりと
そのやりとりを眺めていた。

止まない人の出入りで
アパートは常にざわめいていて

この数日、
アタシもケイちゃんも
ちゃんと眠っていなかった。


そんなんだから
ママと向き合って
お別れも言えないまま



アタシは、今
ママを見送っている。











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