ヌードなアタシ

見慣れた校門の前に立つ
1週間ぶりの登校…


職員用の駐車場に車を停めて
ケイちゃんと並んで正面玄関にむかう。

予鈴のチャイムは、とっくに鳴り終え
玄関も廊下も、シンと静まりかえっている。


アタシは教室ではなく
玄関のすぐ脇の職員室のドアをあけた。



『おはようございます。桜木です』



名前を言うと、受付の事務員さんが
承知していたとばかりに
すぐさまアタシ達を応接室に案内した。

ひと息付く間もなく
校長と担任が入ってきた。



『このたびは、色々お心使い頂きまして
ありがとうございました』


ケイちゃんが頭を下げるのにあわせて
アタシも頭を下げる。



『いえ、桜木君も大変だったね。
お母様も、まだお若いのに…
本当に、ご愁傷様でした』



ひと通りの挨拶を済ませソファーに座る。
目の前に茶色の封筒が置かれた。



『私共も、桜木君のような優秀な生徒が
転校してしまうのは実に残念です。
モデルを辞めて頂いて
本校に残ってもらうことを望みます』



校長の言葉に担任も頷く。



『勝手を言いまして申し訳ありません。
本人が望んだ結果です。
先生方には転入先の紹介も頂いて…
感謝しています。
ありがとうございます』



ケイちゃんは、また頭を下げて
その茶色の封筒を受け取った。




< 331 / 346 >

この作品をシェア

pagetop