ヌードなアタシ
先生が訪ねて来たのは昨日の夜だった。
お悔やみの言葉の後
先生は、年期の入った黒い皮の鞄から
署名の束を取り出した。
職員会議での内容や
生徒会からの申し出など
アタシが学校を休んでいた間の出来事を
詳しく説明してくれた。
卓巳くんや、クラスの子から
メールをもらっていたので
状況は何となく把握していたから
先生の話す内容に納得出来た。
学校側が出した判断は
学業とモデルの両立は
認めないという事だった。
生徒会が申し出たように
経済的な家庭の事情がある場合は
例外として認めてはどうかという意見も
会議の中で出ていたらしい。
ただ、ひとつ認めれば
あれもこれもとキリがなくなる。
『学校の方針として、学業の専念は
本来の学生としての姿勢であるから…
曖昧な措置を取って混乱を招く事は
避けなければならないのです』
先生は、深く頭を下げて詫びた。
『桜木、すまない。
生徒達や一部の先生は
なんとか桜木が仕事を続けながら
みんなと一緒に
学校生活を送れるようにと働きかけた。
しかし、ちから及ばず、だった。
転校という形でしかサポート出来ない
自分が不甲斐無い…』
校則に反するアタシがいけない訳で
色々働きかけてくれたみんなや、先生には
とても感謝している。
アタシは明日の終業式は登校して
クラスのみんなに、お礼とお別れを
言いたいと先生に話した。