史上最強お姫様の後宮ライフ覚書
“王室警護軍のランティス・リード”といえば、無愛想で有名な男である。
血縁者であるフューレにさえあまり笑いかけることはないと言うのに、今、彼は初対面の彼女を見て笑っていた。
それがフューレにとっては何事よりも驚くべきことだったのだ。
「……何、笑ってるのよ。」
しかし、対する侍女はムッとした表情でランティスを睨み付けている。
いくら今日この城に来たばかりの人間とはいえ、彼を睨むなど、怖いもの知らずがいたものだ。
冷や汗を流しつつフューレは心の中でそう呟いていた。
「……別に笑った覚えなどはない。どこの侍女だか知らんが、口に気をつけろ。」
そして、気分を害されたのかランティスは眉をしかめながらリスティーヌを見下す。
だが、それがとうとう彼女の苛つきを爆発させてしまった。