史上最強お姫様の後宮ライフ覚書



そして、彼が思案していると、不意にとある物が目についた。

机の上にあるのは、先ほどまで無かったはずの書類の束。

恐らくフューレが置いていったものだろうと納得し、彼は億劫そうに立ち上がる。

そして、目を通して見れば、それは部下に見張らせて置いた正妃候補達の動向を知らせる今月分の報告書だった。


「どいつもこいつも無駄使いし過ぎだ…」

書類を机の上に投げ出して漏れてしまうのは、ため息混じりの呟き。

それほどまでにその報告書は悲惨なものだったのだ。

宝石やドレスを購入し、毎日サロンで趣味に時間を費やす正妃候補達。

そんな報告書を毎月見る度に、青年は自分がこの部屋に引きこもるのも仕方がない気すらしてくる。



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