史上最強お姫様の後宮ライフ覚書
Episode.1 史上最強の嫁入り
それは何ら変わりのない冬の日のことだった。
数日前の吹雪の影響で残った積雪の中、16歳のリスティーヌは白い吐息を弾ませて街の中を走っていた。
「おはようございます、リスティーヌ様!!」
彼女の姿を見かけた国民達は、次々とリスティーヌに声をかけていく。
そして、彼女もまた華が咲き誇るかのような笑顔でそれに答えていった。
「おい、リスティーヌ!早くしろよ!!」
ふと声がした方を見れば、王国軍の仲間達がリスティーヌに笑顔で手を振っている。
毎日が楽しかった。
両親は既に他界してしまい、姉からの扱いは冷たかったが、それでも国民や仲間達の温かさにリスティーヌは心地よさを覚えていた。
そして、出来ることならば、このままどこにも嫁がずこの地に骨を埋めたいとさえ思っていた。
あの日までは。