史上最強お姫様の後宮ライフ覚書
Episode.5 史上最強のお忍び観光
――後宮生活2日目、早朝。
その時、リスティーヌは非常に気持ちよく爆睡していた。
自分を狙う魔の手がすぐそこまで迫っていることも知らず…
「ということでぇ、あと5秒で起きなかった場合は実刑判決が下されまーす!」
いや、魔の手というには語弊があるかもしれないが、とりあえず彼女達…
ディアナとセレーネのやり口が少々汚ないことは認めても良いだろう。
「いち、に、さん、し、ご…」
淡々と無表情でカウントダウンするのは、苦労人間セレーネ。
一応カウントをしているのは彼女なりの優しさらしいが、そのような小声では彼女が起きるはずもなく。
「はい、タイムオーバーです。では、昨日の恨みもこめて…」
「死刑執行ーっ☆」
にっこりと不気味な笑顔でそう宣告したセレーネに続いて、ディアナがおもいっきり主人の布団をひっぺはがした。
「――~~っうぎゃああああっ!!」
そして、リスティーヌの叫び声と共に今日も賑やかな一日が始まるのだった。