サクランボ。
「私、来輝のこと好きかも!!!」
1学期の後半ごろ、姫は私に北野のことを相談してくるようになった。
「どーしよ!ドキドキしすぎて、上手く喋らんないよ~!」
そんな言葉を毎日聞くようになった。
そのときからだ。
イライラしはじめたのは。
「愛ちんて、来輝のこと好きでしょ?」
「は?」
突然こんなこと言ってくるなんて、やっぱり坂本は変な奴だ。
「ばか言わないで」
「ふーーん」
むかつく。
なんでそーなんのよ。
姫のために、海に行く計画だってした。
文化祭だって、2人きりにしようと、わざわざ嫌いな坂本と抜け出したりした。
私が北野のこと好き?
人を好きになったことなんて、一度もない。
そんな私が、姫の好きな人を好き?
ばっかじゃないの?
坂本のばかな考えは、それからもずっと続いた。
そのたび、私は胸が締め付けられそうになる。
坂本を見ていると、泣きそうになる。
「私、来輝と付き合うことになったんだー★」
「そっか!おめでと」
ほら、笑えてるじゃん。
好きだなんてないんだよ。
姫のものを好きになるなんて、ないんだよ・・・・
「無理してんの?」
「・・・ばかじゃない?」
ばかな考えは、もうたくさん・・・