サクランボ。
「あ、愛が立ってるとこの方が見えやすそー!代わってー♪」
「はいはい…」
私は毎日が嫌だった。
別に姫が嫌いなわけじゃない。
でも、腹が立つだけ。
いつも姫ばっか。
姫があれがいいこれがいいと言えば、かならず姫の思い通りになる。
周りが姫に合わせる。
私もそう。
ただ嫌われたくないだけなのかもしれない。
自分が何がしたいのか、分からない。
姫が言うことが、なぜか断れない。
そんな自分にもイライラする。なんでも、姫に合わせる自分にも…
北野だって…
「相変わらず、ちっちぇーのな」
私達のうしろから聞き覚えのある声。
「らいきー!おはよー」
「はよ」
声の主は、北野来輝だった。
背が高くて、結構顔立ちもまーいい方だ。
人もいいから、一部の女子にも人気。
でも頭の方は残念ながら良くはない。
まあ、人間そう完璧な奴なんていない。
「って、ちっさいって!なにさー!!」
姫は、北野にプンプン怒ってみせた。
全然怖かないけども。
逆に同じ顔の私から見ても可愛い。
同じ顔だけど、自分と姫は何か雰囲気が違う。
「だって、本当の事だし?ちっさいから、探すの大変だった。」
そう言って、北野は優しく笑い、姫の頭を撫でた。
「何よ!彼女に向かってそれは、ないでしょーが!」
「はははっ!」
「…。」
そう、この二人はつい最近付き合い始めた。