サクランボ。


「んで、クラスどうだった?」

姫キラキラした目で、北野に聞いた。

「ぉう。また4人同じクラス」
「きゃー!やったぁ~♪」
「えッ」


嘘だ。

何かの間違いだ。

今のはきっと聞き間違いだ。

いや、聞き間違いであってほしい。

聞き間違いではなく、北野が『また4人』と言ったとすると…

まさか…



「まぁ━━━━━━なち━━━んッッ♪」
「げ」



この鬱陶しい声、一年間ずっと聞いていたので、間違えるハズがない。

朝から鬱陶しい奴…

奴ともまた、一年一緒なのか…


坂本潤。

性格、とにかくウザイ。

なぜか、運動神経抜群。

頭は悔しいことに、自分達よりもかなり賢い。

北野と中学からの友達で、一年のとき、私達と同じC組だった。


「どしたー?疲れた顔してー?」

誰のせいだと思っているのだ。

「べっつに」
「うぁ、まなちんがいつもながら冷たいっ!」

ウルッと涙目になり、こちらに向ける目線がまた何とも鬱陶しい。

「わーん!来輝ィ~!」
「ウザイ、近寄るな」
「うぅ、みんな酷い…」

鬱陶しい…

奴は年がら年中、鬱陶しい。

耐えられない、また一年間一緒だなんて…

私は坂本が苦手だ。

いつもテンション高くて、人懐っこいくせに何を考えてるか分からない。


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