運命のヒト【短編】
「補習?」
高梨くんが口を開いた。
「あー…。夏休みの宿題?」
「!?」
彼の驚いた顔に思わず吹き出した。
「うわ、ひどー(笑)」
「あっ!違うの!や、違うない…」
「意外と毒舌。」
「…否定はしない」
彼はくすくす笑い出した。
無性に悔しくなって話題を変えた。
「というか、私たち話すの初めてなのにね!」
初めてとは思えないくらい
高梨くんとの会話は居心地がよかった。
すると予想外の反応が返ってきた。
「……俺、ずっと話したいって思ってたから…」
詳しく言わずとも彼の様子で何となく分かった。
分かってしまうと胸の奥が
きゅーってなった。
嫌じゃなかった、
すごく幸せだと思った。
「…これからももっと話そう、よ」
夕日が私たちを照らした。
こんなこと私から言ったの初めてかも。
―あなたは、
もしかして私の運命の人?
何故かとっても恥ずかしかった。
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