パラワー『天才・原口龍太郎博士のエトセトラ』
「切符、どうやって買うんだか忘れちゃって……タクシーで行こうか迷ってたんですよ」


「フンッ、だいぶ懐の方も温かいみたいだな。どうだ? 山梨の工場は」


純一郎のワンボックスに乗り込みながら龍太郎が聞いた。


「お邪魔します。ええ、水も空気も綺麗です。半導体造りには丁度いいんですよ」


「それなのに呼びつけてしまって……フンッ、すまんな」


シートベルトを金具にはめて、龍太郎は頭を下げる。


「いえ。また博士と純一郎さんと一緒に研究出来るなんて夢みたいですよ」


「ああ、流。加瀬ももう工学博士だぞ?」


「本当ですか? もしかして、あの回路内のモーターを大きくする研究で?」


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