パラワー『天才・原口龍太郎博士のエトセトラ』
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昨晩、龍太郎と純一郎は夜が明けるまで語り合った。
「そうですか。くるみちゃんの病気、そんなに悪いんですか」
彗と愛人関係に在った龍太郎は、愛娘のくるみ(5)が患っていた先天性疾患を妻である葵(38)一人に任せて、自分は研究と愛欲に没入することで目を背けていたのだ。
「フンッ。だから人格者だなんてとんでもない買い被りだ。だがな、データを持ち逃げされてやっと気付いたのさ、家族のために出来る事が有ると」
「治療法をアナザー・ワールドに求めるんですね!」
書きかけの設計図やトラベラー各部のスケールモデルを検証しながら、純一郎は耳を傾けている。
「そういうことなんだ、加瀬。申し訳ないが協力してくれないか」
昨晩、龍太郎と純一郎は夜が明けるまで語り合った。
「そうですか。くるみちゃんの病気、そんなに悪いんですか」
彗と愛人関係に在った龍太郎は、愛娘のくるみ(5)が患っていた先天性疾患を妻である葵(38)一人に任せて、自分は研究と愛欲に没入することで目を背けていたのだ。
「フンッ。だから人格者だなんてとんでもない買い被りだ。だがな、データを持ち逃げされてやっと気付いたのさ、家族のために出来る事が有ると」
「治療法をアナザー・ワールドに求めるんですね!」
書きかけの設計図やトラベラー各部のスケールモデルを検証しながら、純一郎は耳を傾けている。
「そういうことなんだ、加瀬。申し訳ないが協力してくれないか」