パラワー『天才・原口龍太郎博士のエトセトラ』
その残像で出来たクラインの壺に沿って、理研ご自慢の直径300mに及ぶ超伝導リングサイクロトロンから発射された陽子を、大量に循環させる。

するとそこに空間のネジレが生まれ、パラレル・ワールドへの扉が開くのだ。


「彗はな、フンッ。まれにみる幸運・強運の持ち主だ。彼らが偶然にも垣間見たのが、研究発表にもあったアナザー・ワールドだったんだよ」


「俺達はその扉から一歩踏み出して、向こうの世界に行こうとしている……」


心なしか、純一郎ご自慢のオレンジヘアーがザワザワと蠢いているようだった。


「博士。でもまずビッグバンを阻止する策を講じないとですよね」


流は挙手しながら立ち上がった。


「フンッ。また何か閃いたのか?」

──────────────…‥・ ・

※サイクロトロン
  粒子加速器の1つ

磁場を用いて荷電粒子に円形の軌道を描かせて加速する装置の内、時間が経過しても磁場の変化が無い物を指して、特にサイクロトロンと言う


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