パラワー『天才・原口龍太郎博士のエトセトラ』
「アイツらはフナの解剖から開眼したんだ。そして蛙、マウス、猫……フンッ。でもヒポクラテスになれる程の使命感はなく、寧ろそんなの糞喰らえだ」


「へええ〜。そうなんですか」


そして龍太郎は声を潜めて耳打ちする。


「ヤツラは血に飢えたジャック・ザ・リッパーだったのさ。只の解剖マニアだ。今は顕微鏡を覗き込んで素知らぬ振りをしているが、末は立派なネクロフィリアが出来上がるに違いない。フンッ、そんな女の何処がいいんだ!」


いつの間にか大声を上げている龍太郎の、剰りの剣幕にたじたじとなりながらも純一郎は本題を切り出した。


「博士。声がデカイすよ。で、俺は何で呼ばれたんですか?」

──────────────…‥・ ・

※ヒポクラテス(BC460〜377)
  ギリシャの医師

医聖、医学の父、疫学の祖とも呼ばれ、その倫理観は「ヒポクラテスの誓い」として現在も受け継がれている。


※ジャック・ザ・リッパー(リパー)

1888年イギリス、ロンドンで起きた連続猟奇殺人犯の通称。(別称ホワイトチャペル・マーダー)和名『切り裂きジャック』


※ネクロフィリア

死体愛好家


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