パラワー『天才・原口龍太郎博士のエトセトラ』

──────────────


「フンッ。これが乗用アナザー・ワールド・トラベラーだ」


「女の子とか呼んで除幕式を盛大に執り行えば良かったのに」


純一郎は折角の自分が目立てるチャンスを逃し、歯噛みして悔しがっている。

電力の不足を補い、可能性の有る6つのアナザー・ワールドとコンタクトを取った龍太郎達は、今居る状況と一番似通ったアナザー・ワールドへの渡航準備を整えていた。


「向こうはこちらに来れるだけの電力を確保出来なかったみたいだな」


「こっちの博士の方が腹黒さは数段上ってことですね」


「当たり前だよ。別名『ハラグロ言うたろう』博士だからな」


流と純一郎はひそひそと囁き合っている。


「フンッ、加瀬。陰口叩いてる暇が有るんだから、タイマーはセット済みだよな」