パラワー『天才・原口龍太郎博士のエトセトラ』
『博士は今、大気汚染を中和する研究を行ってるんです』


あちらの幾分頬が痩けた流が、力無く微笑みながら言った。


「そうですか。フンッ、我々は何かお力添え出来そうですか?」


『フンッ、もう研究は最終段階に入っています。コロナ放電に依って大気を取り込みながら中和するシステムをフンッ、構築したんです』


「さすが博士!」


「頑張って、フンッ、おられますな」


『そちらがご所望の治療法ですが、フンッ。生憎ここにも無いようです』


「そうですか」


『でも癌の治癒率は高いんですよ? 末期からの治癒率だって二割有りますから』


『だから純一郎達も、癌になったらこっちに来たらいいよ』

──────────────…‥ ・

※コロナ放電

尖った電極の周りに不均一な電界が生じることに依り起こる、持続的な放電の総称。この世界の龍太郎は、放電で起こるプラズマに依って大気を無毒化しようとしている。


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