パラワー『天才・原口龍太郎博士のエトセトラ』
「博士。俺が窓から外に出てフロートを締め直します」


純一郎はコントローラーを切ると、車外に出てフロートへ乗り移った。推力が無くなると、水に押されて傾いていたA.W.T.の姿勢が多少元に戻っている。


「今ならまだ何とかなるかも知れない。流も来い。A.W.T.を持ち上げるんだ」


純一郎達は力業チカラワザで何とかA.W.T.を元の位置に直すことが出来た。


「流、締め込むまで堪えてろよ!」


「解り……ました……くく、ぬぬ」


額に汗を浮かべながら力む流。季節はもう秋だというのに、温暖化の影響でA.W.T.の車外はうだるような暑さだった。


「アッ」


  ポチャ


「……純一郎さん。今の音はまさか……」


「う……流くん。そのまさかだ」


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