パラワー『天才・原口龍太郎博士のエトセトラ』
「そうですよ。彗さんの理論では、我々が他のパラレル・ワールドに行った途端、反物質と触れたみたいに大爆発を起こす。だから博士のアナザー・ワールド・トラベラーは自殺マシンだと……」


一先ず黙って聞いていた龍太郎だったが、また「フンッ」と鼻で笑うと、種明かしをする時のようなしたり顔で説明を始めた。


「彗達の発表した理論はほぼ完璧だ。フンッ、だがあの公式を解いてみると、イコールにはならない」


「そうなんですか?」


「丁度アボガドロ数ぶんの積が不足しているんだ。フンッ、その分を補完する条件を整えた結果……」


「結果どうしたんですか、焦らさないで下さいよ」

──────────────…‥・ ・

※アボガドロ数
  アボガドロ定数、ロシュミット数とも

純物質1モルの中に有る粒子数N N≒6,022045×10^23(個)


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