パラワー『天才・原口龍太郎博士のエトセトラ』
『こちらの博士はバイオ・インフォマティクスと融合した技術で、有機機械という新しい概念を作り上げました。今ノーベル賞に最も近い男と言われているんです』


パワードスーツに乗ったまま、あちらの流が誇らし気に胸を張る。

機械の世界では、このパワードスーツが頭脳労働を行う者のステイタス・シンボルなのだ。


『立ち話もなんなのでこちらにどうぞ。何を隠そうゲノムの奴らに話を付けたのは俺なんすよ』


「ええっ? もしかしてオレゲノムの解析をあそこのネエちゃん達に?」


『あれっ? 良く解ったな、さすが俺!』


オレンジ頭をユサユサと揺らして得意がるあちらの純一郎。こちらはと言えば、しおれたキンモクセイのように力無く項垂れていた。


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