パラワー『天才・原口龍太郎博士のエトセトラ』
「フンッ。爆発はな、違う世界の同一人物同士が、直接コンタクトしない限り起こらんのだ」


「じゃあ俺が別世界の俺と握手したら……」


純一郎は満面の笑みを浮かべて右手を差し出した。


「ああ。お前は微笑んだまま一瞬で消し飛び、異世界同士が融合し切れず歪みが歪みを呼んで……フンッ」


「呼んで?」


「フンッ。宇宙はまたひとつになり、最初からやり直しだ」


純一郎はまだ笑顔で右手を出した格好のまま、固まっていた。


「彗さんがあの論文の中で言っていた原爆級の爆発は?」


「フンッ、それも計算違いだ。原爆級と言っても内破型と砲身型では構造原理が異なるだろう」


「いや、広島型か長崎型かの違いなんて別に……」


「フンッ、まあいい。とにかく原爆一個分ならまだ救いは有るってもんだ」

──────────────…‥・ ・

ガン・バレル(砲身)型

広島原爆
 愛称スマートジョン

臨界量に満たない半球状のウラン235同士を砲身の中で爆発に依り衝突させることで超臨界状態を作り出す。


インプロージョン(内破or爆縮)型

長崎原爆
 愛称ファットマン

プルトニウム239をワタ状にして丸め、その周囲を爆薬で囲う。爆圧に依って圧縮されたプルトニウム239は超臨界状態となる。


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