パラワー『天才・原口龍太郎博士のエトセトラ』
『お茶は僕が淹れてきます。とびきりのアールグレイですよ』


『俺はミルクと砂糖をたっぷりがいいな』


流は振り返って微笑んだ。庭園のようなラボの庭が、いつもより一際明るく見えた気がして空を仰ぐ。


『今日も空が綺麗だな。目も開けていられない程の眩しさだ……なんだこれ、まっ、眩しいっ!』


──────────────


バイオ・インフォマティクス棟の医務室にしけこんでいた機械の世界の純一郎は、一緒に居る女性といちゃつきながら窓の外を見た。


『早く台風が通過しないかなぁ。これじゃデートも出来やしない』


そうは言いながらも彼は、パワードスーツが濡れてしまうから外出が出来ないという、絶好の言い訳が出来て内心喜んでいた。

インドア派の彼は、出掛けるより部屋でゴロゴロするのが何よりの幸せだったからだ。


『台風、頑張ってくれよ?』


純一郎は彼女に聞こえないように、窓に向かってそっと呟いた。


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