屍の孤島
争った跡や血痕は見つかるのに、肝心の生き残りの警察官やその死体は一向に発見できない。

…既に皆、ゾンビ化してしまったのか。

小野寺はゴクリと唾を飲む。

彼は知らないが、鏑木が遭遇した工員のゾンビのように、警察官もまた普段体を鍛えている治安維持のプロだ。

ゾンビ化した場合は、手強い存在となる。

それらが群れをなして襲い掛かってくれば、苦戦は免れないだろう。

…死者をも蘇らせ、死をも恐れぬ化け物に変える。

ゾンビとは、一体どういう身体構造をしているのだろう。

不謹慎かもしれないが、小野寺は医師としてゾンビの生態に興味があった。

只の好奇心だけではない。

彼らがどのような身体構造をしているのか調べる事によって、もしかしたら打開策が見つかるかもしれない。

チャンスがあれば、小野寺はゾンビの肉体を調査してみようとさえ考えていた。

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