屍の孤島
この島に、秀一達以外の人間がまだ存在した。

その事に彼は驚く。

「お前、この島の人間じゃないのぅ?」

猟師はズボンのポケットからクシャクシャの煙草を取り出し、百円ライターで火を点ける。

「ええ…仕事でこの島に来まして…」

控えめに返答する秀一。

「そりゃあついてなかったのぅ。仕事なんかサボりゃえかったもんを」

自嘲気味に呟いて、猟師は煙草の煙を吐き出した。

彼もまた、ゾンビ達に追われてここまで辿り着いた一人だろうか。

こんな暗がりの中を猟銃片手にうろついている所を見ると、当たらずとも遠からずという所か。

「この島で何が起こったんですか?教えてもらえませんか?」

縋るように言う秀一。

この男なら、この島の異変の原因を知っているかもしれない。

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