屍の孤島
何を身勝手な事を!

島をこんなにした挙句、罪を償う事を恐れて逃げ回り、今度は一人で死ぬのが嫌だから、私を道連れ?

どこまでも自己中心的な男の言い分に憤りを覚え。

(自己中心的は私も人の事言えないか…)

酸欠になり、朦朧としてきた意識の中でそんな事を考える。

呼吸が儘ならない。

視界がぼやけていく。

「が…ぐぐ…かはっ…!」

息ができない。

もう駄目だ、殺される…!

梨紅は目を閉じ、次の瞬間。

「おわっ!」

自ら体を大きくのけ反らせ、同時に男の腕を掴んだまま井戸へと頭からダイブした!

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