屍の孤島
絶望への反抗
目の前にいる、老人の首筋に齧り付いたままのゾンビを、秀一と小野寺が体当たりで突き飛ばす!

既に息絶えた老人と共に転倒するゾンビを尻目に、彼らは走り出した。

先頭は小野寺。

続いて奏、夕映。

「ほら、早く走るんだ、早く!」

腰が抜けかけている梨紅の手を引っ張って、秀一も後に続こうとする。

しかし。

「やっ?いやぁあぁぁっ!」

悲鳴を上げる梨紅。

転倒させられたゾンビが、彼女の細い足首を片手で掴んでいた。

老人の血液に塗れた口を大きく開き、唸りとも呻きともつかない不明瞭な声を上げて、梨紅を見上げる白濁した眼。

その眼を見るだけで、震えが来るほどの悪寒を感じる。

「放して、放してぇええぇっ!」

錯乱した梨紅は喚き散らし、掴まれた足をめちゃくちゃに動かした末に。

「!!!!」

グヂャッ!と。

ゾンビの頭を踏み潰してしまった。

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