屍の孤島
その横で、夕映がフェリーターミナル内のロビーをうろついている。

どうやら探しているのは電話らしい。

が、建物の中は相当に荒らされていた。

ゾンビのせいなのか、それともゾンビから逃げまとう島民達のせいなのか。

とにかく電話は床に落ちたり踏みつけられたりしたせいで壊れているものばかりだ。

「何やってんのよ、電話ならこれがあるじゃない!」

苛立ち気味にポケットから携帯電話を取り出したのは梨紅だった。

こんな化け物に囲まれた場所なんて、一分一秒でも早く逃げ出したい。

手早く110番をプッシュし。

「もしもしっ?」

電話は警察の緊急センターに繋がった。

ここから最寄の警察へと連絡が行き、警察官が駆けつけるのだが。

「私達、今陰島にいるのっ、ゾンビに襲われてるのっ!早く助けに来てよっ!」

彼女の通報を真に受けてくれる者は、いる筈もなかった。

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