屍の孤島
『は?悪戯ですか?』

警察緊急センターのオペレーターが訝しげに言う。

「悪戯じゃないわよ!ホントにゾンビに襲われてるの!人だって一人殺されたんだから!」

『緊急通報を悪戯に使用すると罰せられますよ』

「違うってば!ホントにゾンビがいるのよ!信じてよ!」

『警察は忙しいんです。遊びに付き合っている暇はないんです!』

「ホントだってば!来てくれれば本当だってわかるから!ねぇ信じてよ!」

縋りつくような梨紅の言葉を受け入れる事なく。

「っあ!」

無情にも電話は切られた。

「なによっ!」

憤りに携帯電話を床に叩きつける梨紅。

携帯は音を立てて床を滑っていった。

…別に彼女の通報の仕方が間違っていた訳ではない。

彼女でなくとも、こういう通報の仕方になっていただろう。

だがその現場にいない限り、誰が信じるものか。

島がゾンビの群れに襲われているなどと…。

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