屍の孤島
「何でだよ、こんな時こそみんなで協力して…!」

秀一の言葉に。

「船の中でみんなして私の事悪者みたいな扱いした癖に、協力?笑わせるんじゃないわよ」

彼女は吐き捨てるように言う。

連絡船内でのやり取りを、彼女はまだ根に持っているようだった。

「そんな事言うものじゃないよ…非常事態なんだから、ここはひとつ冷静になって…」

何とか梨紅をなだめようとする小野寺だが。

「私は冷静よ!」

とてもそうは思えない興奮ぶりで、梨紅は声を張り上げた。

「冷静だからあんた達とは協力できないって言ってるの!寄ってたかって私を悪者にしたあんた達は、信用できないってね!」

そう言い残して、彼女は建物の裏口から一人外へと向かっていった。

< 28 / 199 >

この作品をシェア

pagetop