屍の孤島
ゴリッと。

秀一の額に銃口が突きつけられる。

その動作は、秀一が鏑木に拳を見舞うよりも遥かに速かった。

「モデルガンじゃないぜ?」

冷酷な笑みを浮かべる鏑木。

グロック17。

それが彼の持つ拳銃の名前だった。

オーストリアの銃器メーカーであるグロック社が開発した自動式拳銃。

9ミリパラベラム弾を使用。

装弾数は複列弾倉による17発。

発表当初は、プラスチックパーツを多く使用した拳銃として非常に注目された。

鏑木が拳銃を持ち出した事により、小野寺も、奏も、普段無表情な夕映さえもが青ざめる。

「き、君は…何者なんだい…?」

小野寺が震える声で言う。

拳銃を持っている職業など、一般人である彼には物騒なものしか思いつかない。

「さぁな…ご想像にお任せするぜ…警察官じゃない事だけは確かだがな」

鏑木はそう言って、拳銃を突きつけられたまま硬直する秀一に紫煙を吐きかけた。

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