屍の孤島
ガシャン!というガラスの割れる音。

同時にフェリーターミナルのガラス張りのドアを突き破り、ゾンビの群れが建物内に侵入してくる!

いつの間にこれ程までに群がっていたのか。

ゾンビの数は、優に五十を超えていた。

それ程の数のゾンビがドアに押し寄せていたのだ。

ガラスではその圧力に耐えられる筈もない。

割れたガラス片がゾンビ達の体に刺さり、肌を切り、流血をもたらすが、そんな事は全く気にする様子もない。

まるで痛みを感じていないかのようだ。

彼らが感じているのは唯一つ、空腹。

飢えと食欲に駆られ、その本能だけで新鮮な肉を求めて目の前の獲物…小野寺や秀一、夕映、奏ににじり寄っていく。

特に女の肉は柔らかくて美味そうだ。

何の感情も感じさせない白く濁った眼が。

「ひっ…!」

夕映をギョロリと凝視した。

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