屍の孤島
両手を伸ばし、唸り声を上げ。

ノソリノソリと歩み寄ってくる亡者の群れ。

「逃げろ…逃げろ!」

秀一が叫び、その声に呼応して他の者達も走り出す!

ベンチで作ったバリケードも、このゾンビの数の前では全く意味をなさない。

簡単に押し退けられ、腐臭を漂わせる屍達が押し寄せる。

振り向く暇もなく、秀一達は走った。

本来ならば単独行動は危険。

散り散りになるよりも、協力しながら島からの脱出口を探す方が有利だったろう。

しかしこの混乱の最中で、仲間の事を気にしている余裕はない。

相手が男だろうが女だろうが、平等にゾンビ達は襲い掛かってくる。

今重要なのは、己の退路を確保する事。

そして、生きてこのフェリーターミナルを出る事だった。

< 38 / 199 >

この作品をシェア

pagetop