屍の孤島
湿った肉のぶつかるような音。

外のゾンビ達が、車のガラスを叩いている音だ。

車に覆い被さっているゾンビ達は十体以上。

今に圧力でガラスが割られてしまうだろう。

そんな事になれば、狭い運転席にいる奏には今度こそ逃げ場はない。

「かかって!早くかかって!」

焦燥感に駆られ、遮二無二車のキーを捻る奏。

焦るせいでなかなかエンジンが始動しなかったものの。

「!」

遂にエンジンが軽快な音を立てた。

「よしっ!」

何とかエンジンは始動した。

次は…。

教習所で習った事を思い出しながら、奏はギアを入れる。

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