屍の孤島
矢崎 夕映(やざきゆえ)
陰島は入り組んだ路地が多い。

昔は除虫菊や漁業で相当に儲かる土地であり、多くの人が島に移住しては暮らしていたのだという。

しかし除虫菊の栽培が廃れ、魚も以前ほど獲れなくなった現在、島に残るのは昔の面影のみ。

多くの家屋はあるものの、殆どは空き家。

手入れのされていない老朽化した木造家屋がその大半を占めている。

そんな複雑な細い路地を小走りに行く一人の女子高生。

夕映は、男ですら心細くなるような状況下でも冷静に単独行動をしていた。

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