屍の孤島
ひとしきり泣きじゃくり、ようやく落ち着いて。

「……」

夕映はゆっくりと顔を上げた。

許せなかった。

祖母をあんな姿に変えたゾンビ達が憎かった。

きっとゾンビに殺された者は、同じようにゾンビとして蘇ってしまうのだろう。

そして永遠に生者の肉を求めて徘徊する。

安らかな眠りすら赦されない。

祖母をそんな目に遭わせたゾンビ達が許せなかった。

…いつもの無表情のまま、立ち上がる夕映。

だがその瞳には、強い意思が秘められていた。

祖母の為にも、この島を支配しているゾンビ達が何故現れたのかを突き止めてみせる。

そして必ず生きてこの島から脱出してみせる。

それは自分の為だけでも、仲間達の為だけでもなく、大好きだった祖母への誓いでもあった。

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