屍の孤島
そうと決まれば。

夕映は再び病院内を歩き始める。

ゾンビとは蘇った死者。

ならば人間の生と死を司る病院に、何か手がかりはないだろうか。

時折聞こえてくるゾンビ達の声や足音を警戒しながら、忍び足で病院内を探索する夕映。

そのうち、二階で院長室なる部屋を発見した。

それまでの病室とは違い、どこか重厚な雰囲気の扉を開ける。

…中には誰もいない。

高級そうな調度品やふかふかのソファ。

部屋の造りからして、重役クラスが使用する部屋というのが一目瞭然だった。

その部屋の机の上に、パソコンがあった。

電源は入ったまま。

「……」

何気なく、夕映はパソコンを調べてみる。

今年度の病院の決算報告や、入院患者のデータなどが入っている。

その中に紛れて。

「?」

パスワードの入力が必要なファイルが一つだけ存在した。

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