屍の孤島
こういうのは得意中の得意だ。

夕映は手早くキーボードを打ちながら、パスワードを予測していく。

院長の誕生日?

院長の奥さんの誕生日?

車のナンバー?

机の中の書類を手当たり次第に調べ、院長のプロフィールを確認しながら様々なパスワードを入力してみる。

その書類の中に、院長の孫の生年月日があった。

今年生まれたばかりの、可愛らしい男の子の写真と共に。

これに違いない。

パスワードに孫の生年月日を入力すると、ファイルは開いた。

随分と安直なパスワードだった。

(セキュリティはもっとしっかりした方がいいんじゃないかしら)

そんな事を思いながら、夕映はファイルの中身を見た。

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