屍の孤島
それは、古い新聞記事をそのままパソコン内に読み込ませたものだった。

日付は昭和35年。

西暦に直すと1960年だから、今から50年前の記事だ。

記事の内容を読んでみる。

『瀬戸内海に浮かぶ陰島で、埋葬された死体が起き上がり、島民を襲うという奇怪な事件が発生。この事件により、十七名の死傷者が出た』

「…え？」

夕映は思わず小さく声を上げる。

死体が起き上がり、人間を襲う。

まさに今この島で起きている異常事態と、状況が合致する。

その当時には『ゾンビ』などという呼び方は知られていなかったのか、死体が起き上がるという言い方をしているが、意味合いは同じだ。

50年前にも、まさしくこの島で今回と同じような事件が起きていたのだ。

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