屍の孤島
慌てず騒がず。

十分に狙いを定めて、鏑木はトリガーを引き絞る!

発砲音と共に発射される弾丸。

ドラマや映画で耳にする拳銃の発射音と違い、実際の発砲音というのは意外に地味なものだ。

パンッと乾いた音がする。

その音とは裏腹に、威力は絶大。

撃たれれば痛みよりも熱さを感じ、出血による急速な体温の低下が起こるのだという。

ゾンビどもも同じように感じるのかどうかは知らないが。

ともかく鏑木の射撃は見事にゾンビの眉間を撃ち抜き。

「……?」

発砲を受けたゾンビは倒れる事なく、尚も前進を続けた。

確かに命中した。

弾丸は人体急所の一つである眉間を確実に貫通したのだ。

鏑木に限って、撃ち損じるなどという事は有り得ない。

ならば…彼は更に頭部を狙って、もう二発弾丸を撃ち込む!

命中する度に噴き出す血液。

二発目が当たった時点で、ようやくゾンビが一体仰向けに倒れた。

< 87 / 199 >

この作品をシェア

pagetop