RESUME OF LOVE
Chapter1:メロンパン
桜が舞う並木道を早歩きで抜けて、ふわふわな風が髪を触っていく。
バイト先まであと少し。
放課後に花見を楽しんでる恋人達をすり抜けていく、最近の光景。
「こんにちは。今日もよろしくお願いします。」
裏の出入口から入ると、慣れた甘い香り。ロッカーに荷物を押し込んで、エプロンを手に取る。
「早く来て、早く」
こっちを覗いて手招きするのは、架織先輩。今日は珍しく髪を巻いてる。
「先週から来てる常連さんなんだけど、毎日この時間に来る人で...」
先輩が向けてる目線に目を向けると、店の前に自転車を置いてる男の人がいた。
「あの人、必ずメロンパン一つだけ買って帰るの。」
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