RESUME OF LOVE
なかなか龍くんは戻らない。いろんなことを考えて、シャープペンは動かないまま。
「ほら、勉強しろ。テスト近いんだろ?」
参考書で頭を叩かれた。痛いけど、テストが近いのは確かなこと。
近付いてくる足音も聞こえず、輝くんと言い合って参考書で頭の叩き合い。
「図書館は静かにだろ?」
電話から戻ってきた龍くんが、不機嫌そうに言う。
輝くんがここにいるのが気に食わないのか、わたしたちが騒いでいたのが嫌なのか分からない。
「ルイちゃん、ごめんね。早く戻って来たかったんだけど、長引いて」
「俺にも謝れ。おかげでルイちゃんに叩かれたんだぞ」
その発言には納得いかない。最初に叩いたのは、輝くんでわたしじゃない。
わたしと輝くんが争いだしたのを見て、また不機嫌になる龍くん。さっきからシャープペンの芯が、何回も折れてる。
「輝、俺お前のこと呼んでないし。ルイちゃんとの勉強会なんだけど?」
「妬いてるの?もう龍ったら、かわいいなぁ。一人ぼっちのルイちゃん、可哀相だっただけだよ」
お調子者な上に正直者。一人で座ってたわたしは、可哀相に映っていたんだ。
輝くんって、一言多い。その一言が火種を生んで、図書館の静けさは消えて失くなった。
「図書館から出よっか?」
そう言い出したのはわたしで、周りの視線が痛かった。
静かな雰囲気を、一瞬で壊した二人に注目が注がれてる。
会話の内容までは聞こえてないだろうが、静かにしてる人達にとっては耳障りだろう。